「何もしていないのに疲れる。」
「学校や仕事から帰ると、何もできなくなる。」
発達障害の当事者から、このような声を耳にすることがあります。
私自身も、人と会った日や外出した日は強い疲労感に襲われ、家に帰ると何も手につかなくなることが少なくありません。
では、なぜ発達障害では疲れやすいのでしょうか。
感覚入力の処理にエネルギーを使っている可能性
発達障害では、感覚入力の処理方法に特徴があることが知られています。
例えば、
- 蛍光灯が眩しく感じる
- 周囲の話し声が気になってしまう
- 衣服のタグが気になる
- 人混みで情報量が多すぎる
など、人によって様々な感覚過敏・感覚鈍麻がみられます。
このような環境では、脳が大量の情報を処理し続けるため、疲労につながる可能性が指摘されています。
注意資源を多く消費しやすい
私たちは普段、無意識のうちに必要な情報だけを選んで生活しています。
しかし発達障害では、周囲の情報を広く拾ってしまう傾向がある人もいます。
例えばカフェで勉強していても、
- 店内BGM
- 隣の会話
- 食器の音
- 空調の音
- 店員さんの動き
などが同時に気になってしまい、本来集中したい勉強以外にも注意を向けることになります。
その結果、注意資源が早く消耗し、疲れやすさにつながる可能性があります。
「普通に振る舞う」こと自体が負担になることも
発達障害の人の中には、周囲に合わせようとして意識的に表情や会話を調整している人もいます。
近年では、こうした行動を「カモフラージュ(マスキング)」と呼ぶことがあります。
- 相手の表情を読む
- 話すタイミングを考える
- 空気を読む
- 話題を合わせる
これらを常に意識していると、それだけでも精神的な負荷は大きくなります。
仕事や学校では問題なく過ごせても、帰宅後にどっと疲れが出る人がいるのは、このような要因も関係している可能性があります。
私自身の経験
高校時代、私は予備校で夜遅くまで勉強していました。
当時は感覚過敏という言葉を知らず、「夕方になると異常に眠くなるのは自分の努力不足だ」と思っていました。
眠気を我慢するためにコーヒーを飲み続け、結果としてカフェインを過剰に摂取してしまったこともあります。
今振り返ると、蛍光灯や周囲の刺激によって脳が疲れていた可能性もあったのではないかと考えています。
もちろん、これは私個人の体験であり、すべての発達障害の人に当てはまるわけではありません。
疲れにくくするためにできること
疲れやすさを完全になくすことは難しいかもしれませんが、負担を減らす工夫はできます。
- サングラスや帽子で光刺激を減らす
- ノイズキャンセリングイヤホンや耳栓を活用する
- 一人になれる時間を意識的に作る
- 予定を詰め込みすぎない
- 睡眠・運動・食事など生活習慣を整える
「疲れてから休む」のではなく、「疲れる前に休む」という考え方も大切です。
まとめ
発達障害で疲れやすい背景には、
- 感覚入力の処理コスト
- 注意資源の消耗
- 社会生活でのカモフラージュ(マスキング)
など、さまざまな要因が関係している可能性があります。
疲れやすさは「怠けているから」ではなく、脳の情報処理の特性が影響していることもあります。
自分の疲れやすさを理解し、環境を少しずつ調整していくことが、日々の生活を楽にする第一歩になるでしょう。
※本記事は一般的な研究知見と筆者自身の体験をもとにまとめたものです。発達障害の特性や疲れやすさには個人差があります。症状や生活への影響が大きい場合は、医師や心理士などの専門家へご相談ください。

コメント